時計愛好家のアイコンたる精神を受け継いだセイコー 5が新たな道を切り拓く。
セイコーは長年愛されてきたセイコー 5のラインナップ一新を発表した。エントリーモデルにして機械式時計の入門機でもあったセイコー 5は、セイコー愛好家に向けた基幹モデルとして長く親しまれてきた。しかし、永遠に続くものはないという諺(ことわざ)のとおり、セイコーは新セイコー 5を発表することで、旧モデルを生産終了とし、セイコー 5の輝かしい歴史は、新たな章を刻むことになった。
興味深いことに、セイコーが最近、引退に追いやった時計愛好家のアイコンはこれだけではない。最初はWebフォーラムでの噂だったものが、のちに拡散されるようになった。その噂とは、セイコーは正真正銘のアイコンであるSKX007(およびその多くの兄弟機)を生産中止する、というものだ。
先日、僕が初めて買った時計の話をしたが、僕が時計に興味を持つきっかけになったあの質素で小さなタイメックスとは別に、誰もが僕に好きになると断言する“おもしろい”コミックの実写版映画のように、僕の新たな章が加わったのだ。それは数多くのセイコーにまつわる物語だが、僕の場合も読者の皆さんと同じように、熱狂的に愛されたモデル、SKX007から始まった。
セイコーのクラシックモデル SKX007。
ここまでで、“なぜ彼はセイコーSKXのことをそんなにこだわっているのだろう?”、また“新しいセイコー 5のレビューではないのか?”と思われるかもしれない。しかしそれは先代のセイコー 5と、よりダイビングに特化したSKX007(便宜的にSKX007と呼び続けるが、これはほかの多くのバージョンと互換性があるのだ。ブライトリングスーパーコピー詳細については後述)の理解なくしては、新世代のセイコー 5の真価はわからないと僕は考えているからなのだ。
2019年のセイコー 5、別名SRPD系(編集注記:日本での展開はSBSA系となるが、本記事は海外限定モデルも取り上げておりSBSA系で統一できないためSRPD系とする)セイコー 5の新しい様式を創造するにあたって、セイコーは、長いあいだSNK系やSKX系を買うよう友人たちにすすめてきた時計愛好家たちにある程度の敬意を払う必要があった。ただ新しいセイコー 5のデザインにはその両方の要素が見られる。短期間はまだセイコー 5そのものだが、外観はSKX007のごく一部にすぎない。では詳しく見ていこう。
セイコー 5 SRPD67(左)と、SRPD93(右)。
“5”の由来は?
セイコー 5は1963年に発売され、当時(少なくとも日本で)セイコー 5からグランドセイコー(1960年に名機Cal.3180を搭載したJ14070を発売)までがラインナップされていたセイコーの入門機として、スポーツに適したデイリーウォッチの提供を意図していた。
さらに、セイコー 5を所有したことがある(あるいは読んだことがある)人は多いと思うが、この “5”には意味があることをご存じだろうか。セイコーの時計づくりのこだわりを象徴する“5”という数字には、セイコー 5に属する時計が備えるべき5つの基本性能のことを指している。自動巻き、曜日・日付表示、防水性、リューズの保護とねじ込み、堅牢なケースとブレスレットである。1969年のスピードタイマーから、いずれも北米モデルのSNXS77、SNK381、SNK803(またはSNK80x系)といった長年愛され続けているモデルまで、セイコー 5は重要な機能で手を抜かないエントリークラスの機械式時計の代名詞となった。セイコー 5でググると、特定の価格帯のベストウォッチのリストに、高い頻度で1本(または複数本)挙がるのがわかるだろう。SNK803が今でも100ドル以下で手に入るのだから、これには十分な理由がある。
要するに、セイコー 5の遺産は、時計愛好家の独占欲を満たすためのボードゲーム『モノポリー』における地中海通りやバルト海通りのようなものだ。高価でもなく、派手でもないが、その価値観は純粋なセイコーであり、価値を追求する時計コレクターや購買層に基礎となる構成要素を提供してくれるのだ。
結合組織
同様に、SKXシリーズはブランドの最もエントリーしやすいラインからワンランク上のものでありながら、もう少しだけスポーツに特化したものである。“SKX”という名称は、この記事の範囲外の時計(クラシカルなSKX779“ブラックモンスター”など)も含む総合的なものだが、セイコーマニアのほとんどが“SKX”という場合、SKX007、SKZX009(ブルー/レッドのベゼル)、SKX011(オレンジダイヤル)、SKX013(SKX007の37mmバージョン)、またはSKX173(ダイヤルデザインが若干異なる米国市場向けのバリエーション)などを指しているようだ。派生モデルにもかかわらず、このデザインのベースとなり、時計コミュニティで圧倒的な存在感を放っているのがSKX007なのだ。
セイコーのダイバーズウォッチ、SKX007
直径42.5mmのスティールケース(ラグからラグまでの全長は46mm、厚さ13.25mm)に囲まれたブラックダイヤル、逆回転防止ベゼル(夜光ピップ付き)、ねじ込み式リューズ、200m防水と、SKX007はまさにツールダイバーズウォッチだ。僕自身、10年以上愛用している(動画撮影時はもっと短いと思っていたが歳を取ったものだ。僕が初めて一眼デジタルで撮影した下の画像をご覧いただきたい)。この時計は、僕にとって初めての機械式時計であり、初めての本格的なダイバーズウォッチであり、そして時計鑑賞ではなく時計マニアの仲間入りをしたことを象徴している(Poor Man's Watch ForumやWatchUSeekで何時間もかけて、自分の見方が的外れでないことを確認した)。
筆者にとって最も古い時計の夜光ショットのひとつ。左から右へ。セイコーのSKX007、ティソのシースター1000オート、バシスの100ファゾム・ルテニウム・ダル、シチズンのアクアランド クロノグラフ、セイコーのSKX779“ブラックモンスター”、そしてトレーサーのクラシック・オート。
過去10年間(以上)、僕のSKX007は多くの体験をともにしてきた。数え切れないほどの冒険、PADIの資格取得、北米やヨーロッパでの数え切れないほどの仕事への携行などだ。SKX007は、自分にとって必要十分な存在でありながら、困難な状況に陥ったときに外す必要を感じさせない、伴侶となるような時計なのだ。SKX007は、付属のジュビリーブレスレット、セイコーZ22ラバーストラップ、イソフレーン(Isofrane)ラバー、さまざまなレザーオプション、そしてもちろんNATOストラップを装着してきた。数年前、潜水用の時計はほかの時計にもあると思い、Yobokies社製の12時間SS製ベゼルインサートを装着したところ、SKX007はより便利に、より自分らしく変貌した。下の画像は2018年秋、ロンドンで(ニューヨークとの)時差を表示して活躍しているところだ。
前の写真からほぼ12年経った、筆者所有のセイコーSKX007(ベゼル改造済み)。
実は、セイコーコミュニティでは改造が盛んで、SKXダイバーズほどカスタマイズしやすいモデルはない。セイコーの改造(MOD)コミュニティでは、シンプルなベゼルインサートからサファイアクリスタル風防、針やダイヤルの交換、特殊なケースコーティングなど、あらゆるものを提供している。自分で改造することもできるし、その道のプロの誰かにカスタマイズを依頼することも可能だ。SKX007は、クルマに例えるなら腕時計界のジープ ラングラーのようなもので、実用性を重視したシンプルなデザインでありながら、カジュアルでマニアックな魅力があり、改造やカスタマイズが無限に広がるアンダーワールドでもある。どんなことが可能なのか見てみたいって?
僕の記憶では、このセイコーの改造に約200ドル支払い、少し前にオーバーホールしてもらった(7S26は堅牢性が高いが、精度はあまり正確ではないので、資格を持ったプロフェッショナルに調整してもらうといい)。僕はこの時計が大好きで、友人や家族にも同じもの(または似たようなもの)を買うようにすすめているし、この時計(または僕)が数ある命懸けの冒険によって天に召されるまで、ずっと持っているつもりだ。
セイコーのダイバーズウォッチは、よりマクロ的視点で見ると、時計愛好家のための時計であると同時に、時計愛好家やカジュアルな購入者の両方にアピールしやすい、誰もが使える時計であるという点で特別な存在だ。SKX007は、手首によっては少し大きく(もしそうなら、SKX013がおすすめ)、ムーブメントも特別正確で洗練されているわけではないが、1968年まで遡ることができるクラシックなセイコーの美学を備えたタフなSS製ダイバーズウォッチで、セイコーはあらゆる形のダイバーズウォッチを知り尽くし、愛しているブランドなのだ。
以上を念頭に置き、僕はセイコーSKX007(そして多くの意味で現行のセイコー 5シリーズ)を、2通りに解釈している。ひとつは製品として、もうひとつは僕の人生の過去10年以上を占める熱狂のきっかけとして、である。話が脱線したように思われるかもしれないが、上記のようなコンテクストを活かして可能な限り説明してみたい。
新生セイコー 5
27種類あるセイコー 5 SRPDのうち、9種類のモデル。
さて、レビューを始めよう。2018年8月に発表された新生セイコー 5は、先代セイコー 5の哲学と、多くの人に愛されたSKX007の美学をミックスしたモデルだ。SRPD系セイコー 5のラインナップは、27種類(2019年執筆時点)あり、すべてのモデルがダイバーズスタイルで、同じケースとベゼルの構造を採用している(ただし、仕上げは多岐にわたる)。
このレビューでは、これらの27種類のモデルのうち、色、仕上げおよびスタイルが異なる10本ほどのモデルを取り上げるが、すべてが直径42.5mmのSS製ケース(厚さ13.4mm、ラグからラグの全長46mm)、ディスプレイケースバック(素のSKX007では見られないが、セイコー 5に共通)、100m防水、パッキン入りのリューズ(非ねじ込み式)、ハードレックス製クリスタル風防、幅22mmの貫通ラグ、および新型ムーブメントCal.4R36を共通の仕様としている。
つまり、セイコー 5としては、曜日&日付表示付き自動巻きムーブメント、防水機能、保護機能付きリューズ、そして耐久性の高いケースとブレスレット(ここではSS製3連リンク、メッシュ、シリコンストラップ、そしてOEMのNATOストラップまで、いくつかのオプションが用意されている)を継承している。そして、引退するセイコーのエントリークラスの王者に応えるかのように、新生セイコー 5系もセイコーSKX007によく似ている。
ダイヤルデザインは非常によく似通っており(いくつかのブランド表記の変更、アプライドインデックス、新しいセイコー 5のロゴを除く)、ケースは、あらゆる意味でSKXをほうふつとさせる。貫通ラグとディスプレイケースバック(常にユーザーを喜ばせる)にアップデートされたが、セイコーはSKXラインを特にアップデートするつもりはなかったものの(彼らのダイバーズウォッチラインは現在プロスペックスにうまくまとめられている)、セイコー 5の新しいベースとして外観と雰囲気を活かしたかったことは明白だ。セイコー 5の新しいラインナップは、ダイビングに特化したスポーツウォッチ以外にも広がっていく可能性が高いが、僕はセイコー 5のリニューアルに際して客寄せ的にリリースしたモデルと見ていて、SKX007の直系として置き換えを期待していた人たちにとっては、中途半端な出来に感じられたのではないかと思っている。
新生セイコー 5は、より現代的なセイコー製自動巻きムーブメント、 Cal.4R36を採用することで、確実に進化を遂げている。以前のセイコー 5やSKXに搭載されていたCal.7S26から世代交代した4R36は、ハック(秒針停止)機能と手巻き(Cal.7S26にはなかった)を備え、約40時間のパワーリザーブ、2万1600振動/時(3Hz)、そして僕が今回試した何本かの個体では、Cal.7S26/36ムーブメントと比較して精度が改善されている。新しいセイコー 5シリーズは、前世代の多くのモデルの販売価格よりも少し高い(希望小売価格)が、Cal.4R36はセイコーの最もエントリークラスの製品に共通するものではない(多くの人はプロスペックスダイバーズのムーブメントを経験しているのではないだろうか)。派手なムーブメントではないが、現代のセイコースポーツウォッチとしては十分な信頼性と精度を備えている。
ムーブメントやSKXとの類似性はさておき、SRDP系セイコー 5で次に注目すべき点は、リリース時に用意された無数のバージョンである。今回取材にあたり、セイコーから10本の貸し出しを受けたが、発売時には約27種類のバージョンが用意されているようだ。SBSA005(海外版ではSRPD55)やSBSA003(海外版ではSRPD53)といったスタンダードなものから、オールブラックのSRPD65、ゴールドメッキのSRPD76、カラフルで質感の高いグリーンのSRPD77まで、さまざまなバリエーションが展開されている。








